Activities Overseas Reports

渡航報告:オーストリア・オーストリア科学アカデミーGMI(Magnus Nordborg Lab)

KATORI Machiko (Kobayashi lab)

May. 20, 2024

 オーストリア科学アカデミーGMI (Gregor Mendel Institute of Molecular Plant Biology) にて開催された学会「Probabilistic Modeling in Genomics 2024」に参加し、その後、GMIのMagnus Nordborg先生の研究室に約2週間滞在いたしました。このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
 滞在中、Magnus先生と現在の研究や今後の共同研究の可能性について議論する機会を得ました。また、研究室のほぼ全てのメンバーと、お互いの研究について1対1で深く議論することができ、大変勉強になりました。この交流を通して、研究室全体の研究スタイルや雰囲気を知ることができ、今後の留学の可能性を検討する上で非常に有意義な経験となりました。
 さらに、学会での口頭発表をきっかけに、GMIのFrédéric Berger先生とその研究室メンバーと議論する機会も得ました。拝読していた論文の続きの研究や新しいプロジェクトについて詳細を伺うことができました。私自身の研究にも関心を持っていただき、今後の共同研究の可能性についても模索することができました。渡航前には想定していなかった嬉しい展開でした。
 滞在中、様々な分野のセミナーにも参加し、非常に活発な議論に触れることができました。特に、GMI内の研究室が持ち回りで行う発表では、研究室間の交流の活発さに感銘を受けました。Magnus研究室はドライ研究を主とする研究室ですが、ウェット研究室の研究やウェット研究者たちからの意見を学ぶ機会が多いこの環境は、研究の幅を広げていく上で非常に重要だと感じました。
 最後に、ウィーンは治安が非常によく、夜でも1人で安心して出歩ける街でした。英語が広く通じるため、ドイツ語がわからなくても不自由なく生活することができました。この充実した滞在経験を研究に反映させるとともに、今回の交流や共同研究の模索を次のステージに進めるべく、努力して参ります。

写真は、GMIのフリースペースにて撮影しました。隣にカフェがあり、昼食後にはここでコーヒーブレイクをしていました。研究室のメンバーと1対1で話すときにも、よく利用しました。学会中は、ポスター会場としても使われていました。

Author

KATORI Machiko (Kobayashi lab)

  • Graduate student, The University of Tokyo
  • Tsuchimatsu Group
  • The University of Tokyo

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渡航報告:フランス・Université Paris-Saclay

SAKURAI Kengo

Apr. 16, 2024

フランスのUniversité Paris-Saclayで2023年9月から12月の約3ヶ月間育種戦略の研究をするために留学をしてきました。Université Paris-Saclayでは、Alain Charcosset博士、Laurence Moreau博士、Tristan mary-huard博士の3名には本当にお世話になり、とても実りの多い留学になったと思います。3ヶ月もの間海外で暮らすことは少々不安でしたが、同じく留学中の研究室同期や、優しいフランスの仲間たちに支えられ、楽しく過ごすことができました。フランス人は英語をほとんど話してくれないという話をよく聞きましたが、若い世代はかなり英語教育が進んでいるらしくスーパーとかでも話せる人は多いです。パリに至っては英語で全く不自由ないです。英語では伝わらない時もありますが、簡単なフランス語を覚えておけば優しく対応してくれます。フランスの人たちはとっても優しかったです。また、大学の学食も美味しいです。Crousとよばれる生協のようなもの?が大学に入っており、そこで昼食を食べることができます。学生だと3.3ユーロで結構量もあり美味しい昼食を食べられます。しかし、私の時は最初はクレジットカードも使え3.3ユーロで食べられていたものの、大学の学食パスのようなものでないと払えない(友達に建て替えてもらっていました)、当大学の学生でないなら6.6ユーロだと言われ、段々と待遇が改悪されていき、最終日には10ユーロぐらい払わされました。Crousとは最悪の別れ方をしてきました。とはいえ、美味しい昼食を食べた良い思い出もあるのでまた行きたいなとは思います。なかなか飽きがこない生活だったという意味ではフランスは楽しい国だと思いました。

・行先(国・大学・研究室):フランス・Université Paris-Saclay・Génétique Quantitative et Évolution - Le Moulon
・海外の担当研究者:Alain Charcosset
・期間:2023年9月18日~12月4日

Author

SAKURAI Kengo

  • Iwata Group
  • The University of Tokyo

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半年のチューリッヒ滞在を終えて

FUKUSHIMA Kazuki (Watanabe lab)

Apr. 10, 2024

東北大学生命科学研究科D3の福島和紀と申します。同じく東北大学の大林先生にサポートいただき、2023年10月から2024年3月までの期間、チューリッヒ大学の清水健太郎教授の研究室に滞在させていただきました。シロイヌナズナの花粉数減少に関わった遺伝子を見つけることをテーマに研究を行ってきました。
今回が初めての海外長期滞在で慣れない生活にやや怯えていましたが、研究室の皆様には温かく迎えていただき、滞在中はとても楽しく過ごすことができました。研究生活の中では、新たな解析も学び、色々な人と議論する機会もいただき、大変勉強になりました。
また、今回がきっかけで新たな研究アイディアも生まれたことで、チューリッヒ大学URPP Evolution in Action Pilot Project 2024に採択されることにも繋がり、これから先の研究が楽しみになる成果も得られました。

そのほか、滞在中に経験し、特に印象的だったことを3点ご紹介します。
1. 街が綺麗
 実は、外国の衛生面(特に公共の施設)にあまり良い印象がなく、ちょっと不安だなと思っていました。ところが、そんな心配をする必要はありませんでした。街中色々なところで掃除をしている人を見かけ、「ゴミが溢れている!」とか「汚れたまま放置されている!」といった場所はあまり見かけませんでした。スイス人は綺麗好きだと言われることもありますが、本当のようです。もちろん、水も綺麗。街中で噴水を見かけることもありましたが、よく水を汲んでいる人を見かけました。
 暮らしてみて、非常に快適な街だなと思いました。これも、市民の協力のおかげなのでしょう。気を抜くと汚したまま放置しがちな私ですが、迷惑をかけないようかなり気をつけて生活していました・・・。

2. 研究科で毎週開催されるセミナー
 私が、滞在していた建物では、毎週火曜日の夕方と木曜日の昼にセミナーが開催されていました。各研究室のPIなどがホストとして持ち回りで企画され、学生・ポスドク問わず色々な人が発表者として参加していました。そして、学内だけでなく、他の近隣の国の人が呼ばれることも(さすが陸続きのヨーロッパ)。議論も活発で、非常にアクティブなセミナーだと感じました。
 そして、セミナーが終わった後には、Apero(アペロ)と呼ばれる会が開かれる場合もあり、スナック・飲み物片手に、引き続きゲストと議論を続けているのも印象的でした。
 この頻度でやっていると忙しくなりますし、大変なのでは?と思っていましたが、毎回参加してる人が結構いました。私もほぼ毎回参加しましたが、生物種問わず色々な分野のトレンドや技術を知ることができ、とても勉強になりました。大変でも、これくらいの余裕はあったほうがいいのかなと思いました。
 そのほかにも、教授の選考のために不定期に開催されるセミナーも公開されており、研究交流がオープンな雰囲気を感じました。

3. 大学の設備など
 チューリッヒ大学の地下には、実験器具や消耗品を扱う売店があり、日常的に多く使うものはここで手にいれることができます。すぐに手に入れたいものがあるとき、こういう設備があると便利だなと思いました。ほかにも、郵便、コーヒーショップなどなど生活が豊かになりそうなものもありました。
 そして、新しくできた建物のオフィスは、壁がほとんどなく、オープンな空間。会議室の壁もガラス張りで、とても現代的でした。(少々落ち着かないかもしれないけど)おしゃれで雰囲気の良い空間だなと思いました。

今回の滞在にを通じて、受け入れ先の清水健太郎さんをはじめ、清水(稲継)理恵さん、高橋太郎さんには、非常にお世話になりました。本当にありがとうございました。
今後、チューリッヒを訪れる機会が、非常に楽しみです。

追記
滞在中、知っておくと便利だったものを紹介します。
・海外送金サービス
支給されるのは日本円なので、どうにかして日本の口座からお金を使う方法が必要でした。海外では、割とよく日本のクレジットカードが使えないときがあると聞いていたので、対策として海外送金サービスのWiseを利用していました。銀行への振り込みにも使えますし、プリペイド方式に似た方法でデビットカードが使えるので、とても便利でした。
他にも色々ありますので、それぞれにあったサービスを使うと良いと思います。

・食品用ラップ
一回で切れたり、切れなかったりします。

・スイスの国コード
スイスの国コードは、2文字の場合、CHです。空港の検疫で、中国と勘違いされて、戸惑ったことがありました。(ちなみに、中国はCN)

↑写真は、スイス・ウルナーボーデンにて

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FUKUSHIMA Kazuki (Watanabe lab)

  • Obayashi Group
  • Tohoku University
  • Reproductive Development
  • Imaging

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イスラエル留学 〜イスラエル渡航の巻〜 いざ行かん、約束の地へ!

NAKAJIMA Kohdai

Jan. 11, 2024

 こんにちは。第二弾のイスラエル留学の記事は、イスラエルへ渡航する準備段階から現地に着くまでについてです。

 他の国や研究機関で必要になるかどうかはわかりませんが、Technionへ留学する際には、現所属機関からTechnion宛に留学の詳細(渡航期間や費用など)が書かれたオフィシャルレターを送り、承認されてから大使館でのビザ手続きという流れでした。
 本当のところは、4月に渡航したいと思っていましたが、イスラエルは4月に大きな祝日があり、全く連絡が取れませんでした...。さらに先方のネットワークトラブルも重なり...。
「教訓1. 連絡が取れるメールアドレスやSNSがあれば、片っ端から連絡するべし」

 なんとか承認が得られ、いよいよビザ申請となりましたが、申請には保険加入・住居決め・航空券手配・予防接種、そして自分の場合はパスポートの更新という5つの壁が立ちはだかっていました。この中で最優先しなければならないのは、住居決めでした。住居が決まらないと、そもそも保険の加入ができず、保険加入が完了しなければ、もちろんビザ申請は出来ません。ちなみに保険は、大学から指定された保険会社に入りました(1年分を一括払い...貯金がぁぁぁ)。申請前に航空券を購入しておく必要があり、緻密な逆算が求めらました。予防接種は最短1ヶ月程度かかる見込みでした。費用はトータル約10万円で、外務省が推奨しているものを打ちました。
「教訓2. ビザ有り渡航は計画的に」

 渡航予定日の1週間前くらいにビザが届き、いよいよ渡航へ。利用した航空会社はイスラエルの航空会社エル・アル航空です。世界一厳しいと噂のエル・アル航空。チェックイン前に30分以上にわたる"尋問"があり、ようやく終わったと思ったら、保安検査場をとり抜けて、搭乗する前にも再度入念な荷物チェック&ボディチェック。搭乗までに一苦労です。もたもたしすぎて、一番最後に搭乗することになってしまいました。機内はとても快適で、入国審査は全然厳しくありませんでした。宿泊先にのAirbnbまでは、電車やバスを乗り継いで行こうと思っていましたが、ラボマネージャーの手厚いサポートがあり、タクシーで行けました(2万円くらいしていた。ありがたや、ありがたや)

 次回は、「イスラエルの生活編」をお届けしようと思います。

Author

NAKAJIMA Kohdai

  • Research Fellow
  • Higashiyama Group
  • The University of Tokyo
  • Podbilewicz Lab
  • The University of Tokyo, Technion - Israel Institute of Technology
  • Reproductive Development
  • Imaging

イスラエル留学 〜渡航先決定の巻〜 どうして私がイスラエルに!?

NAKAJIMA Kohdai

Jan. 1, 2024

 この記事を見に来てくださった方、ありがとうございます。2023年の6月からイスラエルのテクニオン-イスラエル工科大学 (Technion- Israel Institute of Technology)へ留学していましたポスドクの中島耕大です。「どうして私がイスラエルに!?」行くことになったのかをご紹介したいと思います。少しでも留学先決定の参考になったら幸いです。
 今から遡ること7年(え!もう7年前!)。修士1年生だった私は、指導教官の粋な計らいで初の国際学会 (Gordon Research Conference; GRC)に参加することとなりました。
 2017年...。この年の初めから私の研究したいと思っていた分野で立て続けに論文が発表されました。GCS1という植物で発見された配偶子融合因子の構造が、線虫の体細胞融合因子やウイルスの膜融合因子と瓜二つであることが報告されました。これらを報告した3グループの著者がこぞってGRCに参加するとのことで、気合を入れて指導教員不在の中、参加しました。中でも私はイスラエルのグループが報告した論文がお気に入りでした。分子の機能を創って理解する構成的なアプローチをとっていました。初日から積極的にイスラエルの先生にお声がけをし、学会中の晩にはディスカッションを行いました。これが功を奏し、共同研究する運びとなりました。学生の間にも渡航をしたい気持ちはありましたが、コロナウイルス感染拡大などもあり訪問することはできていませんでした。7年の時を経て、満を持してこの国際先導研究の派遣でTechnionのPodbilewicz labへと行くことが叶いました。

 次回は「イスラエル渡航の巻」です。

*写真は2019年にGRCへ参加した時にPodbilewicz labと撮ったもの。

Author

NAKAJIMA Kohdai

  • Research Fellow
  • Higashiyama Group
  • The University of Tokyo
  • Podbilewicz Lab
  • The University of Tokyo, Technion - Israel Institute of Technology
  • Reproductive Development
  • Imaging