渡航報告:フランス・Université de Lille
2025年10月15日〜2026年3月5日の約5ヶ月間、フランス・Université de Lille に留学し、Vincent Castric 博士のご指導のもとハクサンハタザオの自家不和合性に関する研究を行いました。
2025年10月15日〜2026年3月5日の約5ヶ月間、フランス・Université de Lille に留学し、Vincent Castric 博士のご指導のもとハクサンハタザオの自家不和合性に関する研究を行いました。
京都大学 工藤研究室の清水華子です。 (左)ロンドンから乗った長距離鉄道(右)ノリッジ駅 (上左)チューリッヒの鉄道(上右)チューリッヒ大学構内にある牛のモニュメント
2026年3月2日にイギリス・ジョンイネスセンター(JIC)のDr. Antony Doddグループ、3月4日から6日にスイス・チューリッヒ大学の清水健太郎博士グループを訪問しました。
非常に短期間での訪問でしたが、セミナーやディスカッションを通して多くの知識やアドバイスをいただきました。今後の研究に関する新しいアイデアやモチベーションを得られた、貴重な体験でした。
<イギリス>
JICがあるノリッジへは、ロンドンのリバプールストリート駅から列車で向かいました。車窓からは牧草地や家畜たちが見られ、長閑な眺めを2時間ほど楽しむうちにノリッジに到着しました。ノリッジは古い建物や大聖堂、お城などが立ち並ぶ美しい街で、ジョンイネスセンターはその郊外にあります。

ジョンイネスセンターではセミナー発表をさせていただき、またその前後にも多くの研究者とディスカッションする機会をいただきました。
セインズベリー研究所も同じ敷地内にあり、セミナーを広くアナウンスいただいたので、多くの方がセミナーを聴きに来てくださりうれしかったです。
Antonyさんによるとイギリスで市内に国立公園があるのはノリッジだけで、少し足を伸ばすとたくさんの野生生物が観察できるとのことでした。今回は時間がありませんでしたが、また機会があればぜひ訪れたいと思います。
<スイス>
翌日ノリッジからロンドンに列車で移動し、ロンドンシティ空港からチューリッヒに向かいました。ロンドンからチューリッヒへは空路で2時間もかからず到着します。
チューリッヒではKEPLRハウスに滞在させていただきました。空港からKEPLRハウスへは鉄道やトラムで1時間弱で到着します。SBB mobile(https://www.sbb.ch/en/travel-information/apps/sbb-mobile.html)というアプリを事前にスマートフォンで準備しておいたのですが、鉄道・トラム・バスすべてで使用可能、最適な経路・時刻表情報を得られると共にクレジットカード決済もでき、大変便利でした。
チューリッヒ大学でもセミナー発表と個別ディスカッションをさせていただき、多くの知見を得られました。
また大学内の見学や、ラボミーティングや学科全体でのポスターセッションへの参加、さらに植物の調査地へも連れて行っていただきました。
空き時間にチューリッヒ大学の植物園にも見学に行き、多くの植生を観察できたことも収穫でした。



(下左)チューリッヒ大学構内の植物栽培棚(下右)チューリッヒ植物園にある梅
1週間で2箇所を回るというスケジュールでしたが、日程調整に対応いただき、また暖かく迎えていただきました。
今回の訪問で得られたものを今後に活かし、研究を発展させていきたいと思います。
2023年の10月から2024年3月までの5か月間、スイスのチューリッヒに滞在しました。 1枚目:夕方のチューリッヒ湖。散歩するのに良い公園があります。
研究面だけでなく、異国の地に滞在するという生活面でも、様々な体験を通して多くの人との繋がりをつくることができました。
○ 渡航が決まるまで
渡航先のPéter Szövényi博士達は、私が研究対象としているツノゴケについて以前から研究しており、訪れたい研究室でした。今回の渡航についても快諾してくださり、渡航先の決定まではスムーズでした。しかし、渡航のための事前準備を始めてみると、先方の事務から、大学と雇用関係を結ばない形での渡航手続きに必要な書類がわからないと言われてしまい、いつ渡航できるか読めない状況が続きました。最終的に、似たような形で(日本の大学と雇用関係を持ちながら)留学されている清水研の方から情報を教えていただくことができ、渡航に漕ぎつけました。
○ 研究面でのこと
渡航先のPéterの研究グループは、チューリッヒ大の植物園の中にラボ(研究室)があり、メインキャンパスから少し離れた植物園に毎日通っていました。Péterのラボは国際色豊かで、出身国別にスイス出身が2人、ハンガリー(Péter)が1人、ドイツが1人、フランスが1人、イタリアが1人、中国が2人、イランが1人、日本(私)が1人でした。ラボ内の会話は基本的に英語(たまにドイツ語が聞こえてくる程度)で、気さくで話しやすい方ばかりでした。ツノゴケを研究しているメンバーも多く、ツノゴケに関する情報やツノゴケ特有の困りごとを日常的に共有することができる環境でした。
実験室は他の研究室と共用で、多くの試薬や機器は共通管理されていました。現在ラボにある試薬の一覧をオンライン上で見ることができ、消耗品類は必要な時に建物内の共有ストック置き場に買いに行くシステムでした。植物園にある研究室は数が多くなく、建物内で皆顔見知りという雰囲気がありました。お昼ご飯もラボごとにまとまって行くことが多く、食堂で顔を合わせたらラボに関係なくおしゃべりしていました。
一番印象的だったのが、新しい教授を選ぶ過程に学生を含め全ての人が関わっていたことです。2日間をかけて、候補者による研究セミナーと、候補者との懇談会が開かれました。懇談会は、学生・ポスドク・教員の3グループに分かれて、グループごとに候補者と小さなテーブルを囲んでざっくばらんに話す会で、どういう教員になりたいか、普段どういうことをしているか、など様々な質問が飛んでいました。
○ 生活面でのこと
チューリッヒは治安も良く、ドイツ語圏ですが英語もたいてい通じるので、とても生活しやすい場所でした。物価の高さだけは難点で、ヨーロッパの中でも特に高いようです。当時、鶏肉でも100gあたり500円ほど。地元の方達は、週末に隣国のドイツなどに買い物に出たりするそうです。乳製品が豊富で、ヨーグルトの種類の多さにも驚きました(果物入りはもちろん、栗やナッツ、チョコ味、コーヒー味、チーズケーキ味など…)。野菜は量り売りなので、少量でも買うことができます。おにぎりや寿司も人気のようで、スーパーでよく見かけましたが、おにぎり1つで700円位していました。
物価の高さに加えてもう一つ悩ましいのが、滞在場所を探すことの難しさです。住んでいる人口に対して部屋の数が圧倒的に少ないそうで、学生はほぼ皆シェアハウスに住んでいると聞きました。私が現地にいる間も、別の大学から短期に来る学生がいるので部屋が空いていたら教えてほしい、という話が何度か回っていました。私自身は、清水研の稲継さんを通して紹介していただいた場所に運よく受け入れていただくことができ、何十件もメールを送らずに済みました。家賃は、キッチン・バストイレ付の個人部屋で、家具や調理器具なども付いて月1300フラン(水道電気暖房wifi込み)でした。大家さんが日本人で、役所での手続きに付き添ってくださったり、スーパーでの買い物の仕方などを教えてもらったりしたことも有難かったです。
スイスでは、勤務形態が日本と違い、○%での雇用、という形で働きます。そのため人によって帰宅時間も様々でしたし、多くの人は18時には帰宅していたので、18時を過ぎると研究棟の中から一気に人がいなくなりました。また、基本的に日曜日は休むことが義務とされているらしく、日曜日にはお店の多くも閉まっていました。
5か月の間チューリッヒに滞在して、日本との違いに驚くこともあった一方で、研究面を含め新しく知ることができたことも多かったです。今回の滞在で得られた経験や繋がりを、今後に生かしていきたいと考えています。
2枚目:実験に使う消耗品のストック売場。ラボにあるカードを持って行けばいつでも買えます。
3枚目:スーパーの野菜売り場。トマトの種類がかなり多いです。
4枚目:乳製品コーナー。写真の右半分はほぼヨーグルトです。
立教大学・榊原研究室の江崎和音です。2025年12月12日~20日に、スイス・University of Zurich(UZH)のDr. Péter Szövényiの研究グループと、フランス・CNRS(フランス国立科学研究センター)のDr. Yoan Coudertの研究グループを訪れました。Péterの研究グループへは、自身が行なっているツノゴケ研究のために2023年10月から2024年3月に訪れており、今回は2度目の訪問でした。前回教わることができなかった実験手法を習うことが目的でしたが、懐かしい顔と再会できたことも嬉しかったです。CNRSのYoanとは、以前から共同研究等で交流があり、今回は共同研究の相談に加えて研究所の見学と研究セミナーをさせていただきました。 (左:UZH植物園の温室 ○フランス・リヨン (左:CNRSへの入り口
○スイス・チューリッヒ
チューリッヒでは住宅の数が不足しており、滞在用の部屋探しが問題になることが多いのですが、今回はKEPLR roomを利用させていただいたことでこの問題を解決できました。岡本さんの利用体験記にもあるとおり(https://keplr.jp/activities/overseas/75/)、KEPLR roomは生活するのに便利な立地にあります。また、チューリッヒは物価が高く、食費も外食やテイクアウトを続けるのは中々厳しいものがあります。KEPLR roomではキッチン用品を使わせてもらえたため自炊もでき、シャンプー類などもお借りできたので有難かったです。ネット環境も家全体で使われているものを使わせていただきました。外出の際のネット接続には、eSIMを短期契約して使用しました。
Péterの研究室はUZHの植物園の中にあり、KEPLR roomからは電車とバスで45分ほど。バス停を降りて坂を上った先に植物園の入り口があり、ドーム状の温室が印象的です。研究室のメンバーと久しぶりに顔を合わせた後、お互いの最近の研究状況などを報告しました(ちなみに、色々と持って行ったお土産の中で、ラボメンバーに一番受けが良かったのはカントリーマームでした)。日本ではツノゴケの研究を行なっている研究者と話す機会が少ないので、研究での日常的な困りごとや今後の研究方針などについて情報交換ができる貴重な機会でした。今回はツノゴケと共生するシアノバクテリアを用いた実験手法について習ってきたので、今後の研究に活かしていきたいと考えています。また、植物園内の別の研究室に、自身が研究対象としている因子を別のコケ植物で調べている研究者がいて、お話したいと思っていました。その方とも直接話をする機会を得ることができ、新しい繋がりをつくることができました。
右:食虫植物の展示スペース。改築されて以前より見やすくなっていました)
チューリッヒからリヨンへは、電車を乗り継いで5時間ほどかけて移動しました。リヨンはフランスの中でパリに次いで人口が多い大きな街で、のんびりとしたチューリッヒの雰囲気とは異なり、都会的な雰囲気がありました。街を歩くと、新しいビルが並ぶ近代的な場所もあれば、中世の古い建物が多く残してある場所もあり、長い歴史が感じられました。
CNRSは、様々な分野の基礎研究を行なう大きな研究所で、リヨンの中の複数の場所に点在しています。今回はそのうちの一つ、RDP (Plant Reproduction and Development laboratory)にお邪魔しました。複数の研究グループで実験室や顕微鏡等の実験設備を共同利用していて、その広さと部屋の多さに驚きました(一人で歩いたら確実に迷子になると思いました)。建物内で2つの階にわたった温室もあり、広いスペースに様々な植物が育てられていました。研究セミナーでは、クリスマス休暇前にも関わらず様々な分野の研究者の方が集まって下さり、発表時はかなり緊張しましたが、ここでの議論を通して、ツノゴケの研究でまだまだ不足している部分、今後進めて行かなければならない部分を改めて認識しました。今回のチューリッヒ・リヨン滞在で得たことを、今後の研究に繋げていきたいと考えています。
右:Saint-Jean大教会。中世時代の古い建物が沢山残してある地区に建っています。)
11月末、筆者は遥かオーストリアの地で開かれる国際学会に参加するべく、一人欧州へと飛んだ。ほんの数日の滞在とはいえ、異国の魔力はいつだって旅人の心をざわつかせる。せっかくの機会なので、ここに拙いながらもその紀行を残しておこうと思う。 暖まったところで、自然史博物館へ足を向けた。重厚な歴史的建造物の内に地球の歴史と生命の軌跡がこれでもかと言わんばかりに詰め込まれ、巨大な骨格標本や鉱石の山が見る者を容赦なく圧倒してくる。あまりの情報量に半ば処理落ちしながらふらふらと歩いていると、気づけばまたクリスマスマーケットへと辿り着いていた。ライトアップされた市庁舎が天を衝くように輝き、広場全体が幻想的な光に包まれている。もはや映画のワンシーンである。むろん、ここでもグリューワインを補給する。どうやらウィーンの冬は、この霊薬によってのみ攻略が可能らしい。 さて、肝心の学会である。今回参加した EMBO Workshop は植物の進化をテーマとしており、ここでは藻類、コケ、シダといった“花のない植物”が華型であった。専らコケやシダを扱う筆者としては、まさに水を得た魚のような心持ちである。最新技術を駆使した研究成果に唸らされ、久しく触れてこなかった話題に再び向き合えるのも、得難いよろこびであった。
学会前日に到着した筆者は、チェックインまでの暇をつぶしに街へと繰り出した。冬のウィーンは、想像していたよりもずっと手ごわい。最高気温 2°C というのは、常識的に考えて外出を控えるべき寒さである。外へ一歩踏み出すたび、「ようこそ冬のヨーロッパへ」とばかりに冷気が頬を刺し、心を折りにかかってくる。それでも街はクリスマスの熱気に包まれており、寒さと賑わいが混じる独特の活気を放っていた。
まずはクリスマスマーケットなるものを一目見ようと、筆者はシェーンブルン宮殿を訪れた。そこでは宮殿とお揃いのイエローで着飾った屋台たちが「どうだ、可愛かろう」と整列していた。歴史ある王宮を背景に手工芸品がずらりと並ぶ光景は、なにやら絵本の世界に迷い込んだようですらある。そこで飲んだグリューワインは、魔法の霊薬さながらに冷え切った身体を瞬時に蘇生させてくれた。

思いがけず 、Gregor Mendel Institute を見学する幸運にも恵まれた。名高い研究所の内部には最新鋭の機材がこれでもかと並び、世界の知がポンポン生まれるさまが目に浮かんだ。圧巻の設備に感嘆しつつも、研究を支えているのはやはり人の発想と工夫であるという事実が、むしろ強く心に残った。若手からシニアまで、こと研究となると目を輝かせる。結局のところ、研究の価値を決めるのは機械ではなく人なのだと、深く感じ入った。
ウィーンでの数日は非日常感に溢れ、じつに刺激的であった。寒空の下で賑わう街も、研究を語る人々の顔つきも、しばらく胸に残り続けるだろう。ひるがえって自身の研究はどうであろうか。まだまだ道半ば、どこから手をつけよう。やる気も新たに帰途についた。
Overseas reports
Biological Groups
Technical Units
Fiscal year
Recent post