渡航報告:スイス・University of Zurich
2023年の10月から2024年3月までの5か月間、スイスのチューリッヒに滞在しました。 1枚目:夕方のチューリッヒ湖。散歩するのに良い公園があります。
研究面だけでなく、異国の地に滞在するという生活面でも、様々な体験を通して多くの人との繋がりをつくることができました。
○ 渡航が決まるまで
渡航先のPéter Szövényi博士達は、私が研究対象としているツノゴケについて以前から研究しており、訪れたい研究室でした。今回の渡航についても快諾してくださり、渡航先の決定まではスムーズでした。しかし、渡航のための事前準備を始めてみると、先方の事務から、大学と雇用関係を結ばない形での渡航手続きに必要な書類がわからないと言われてしまい、いつ渡航できるか読めない状況が続きました。最終的に、似たような形で(日本の大学と雇用関係を持ちながら)留学されている清水研の方から情報を教えていただくことができ、渡航に漕ぎつけました。
○ 研究面でのこと
渡航先のPéterの研究グループは、チューリッヒ大の植物園の中にラボ(研究室)があり、メインキャンパスから少し離れた植物園に毎日通っていました。Péterのラボは国際色豊かで、出身国別にスイス出身が2人、ハンガリー(Péter)が1人、ドイツが1人、フランスが1人、イタリアが1人、中国が2人、イランが1人、日本(私)が1人でした。ラボ内の会話は基本的に英語(たまにドイツ語が聞こえてくる程度)で、気さくで話しやすい方ばかりでした。ツノゴケを研究しているメンバーも多く、ツノゴケに関する情報やツノゴケ特有の困りごとを日常的に共有することができる環境でした。
実験室は他の研究室と共用で、多くの試薬や機器は共通管理されていました。現在ラボにある試薬の一覧をオンライン上で見ることができ、消耗品類は必要な時に建物内の共有ストック置き場に買いに行くシステムでした。植物園にある研究室は数が多くなく、建物内で皆顔見知りという雰囲気がありました。お昼ご飯もラボごとにまとまって行くことが多く、食堂で顔を合わせたらラボに関係なくおしゃべりしていました。
一番印象的だったのが、新しい教授を選ぶ過程に学生を含め全ての人が関わっていたことです。2日間をかけて、候補者による研究セミナーと、候補者との懇談会が開かれました。懇談会は、学生・ポスドク・教員の3グループに分かれて、グループごとに候補者と小さなテーブルを囲んでざっくばらんに話す会で、どういう教員になりたいか、普段どういうことをしているか、など様々な質問が飛んでいました。
○ 生活面でのこと
チューリッヒは治安も良く、ドイツ語圏ですが英語もたいてい通じるので、とても生活しやすい場所でした。物価の高さだけは難点で、ヨーロッパの中でも特に高いようです。当時、鶏肉でも100gあたり500円ほど。地元の方達は、週末に隣国のドイツなどに買い物に出たりするそうです。乳製品が豊富で、ヨーグルトの種類の多さにも驚きました(果物入りはもちろん、栗やナッツ、チョコ味、コーヒー味、チーズケーキ味など…)。野菜は量り売りなので、少量でも買うことができます。おにぎりや寿司も人気のようで、スーパーでよく見かけましたが、おにぎり1つで700円位していました。
物価の高さに加えてもう一つ悩ましいのが、滞在場所を探すことの難しさです。住んでいる人口に対して部屋の数が圧倒的に少ないそうで、学生はほぼ皆シェアハウスに住んでいると聞きました。私が現地にいる間も、別の大学から短期に来る学生がいるので部屋が空いていたら教えてほしい、という話が何度か回っていました。私自身は、清水研の稲継さんを通して紹介していただいた場所に運よく受け入れていただくことができ、何十件もメールを送らずに済みました。家賃は、キッチン・バストイレ付の個人部屋で、家具や調理器具なども付いて月1300フラン(水道電気暖房wifi込み)でした。大家さんが日本人で、役所での手続きに付き添ってくださったり、スーパーでの買い物の仕方などを教えてもらったりしたことも有難かったです。
スイスでは、勤務形態が日本と違い、○%での雇用、という形で働きます。そのため人によって帰宅時間も様々でしたし、多くの人は18時には帰宅していたので、18時を過ぎると研究棟の中から一気に人がいなくなりました。また、基本的に日曜日は休むことが義務とされているらしく、日曜日にはお店の多くも閉まっていました。
5か月の間チューリッヒに滞在して、日本との違いに驚くこともあった一方で、研究面を含め新しく知ることができたことも多かったです。今回の滞在で得られた経験や繋がりを、今後に生かしていきたいと考えています。
2枚目:実験に使う消耗品のストック売場。ラボにあるカードを持って行けばいつでも買えます。
3枚目:スーパーの野菜売り場。トマトの種類がかなり多いです。
4枚目:乳製品コーナー。写真の右半分はほぼヨーグルトです。



